宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) ポイント解説

8. 明文化されないのに拘束力があるおかしなルール

Oが原告に渡したメモに「コンビニに寄ってはいけない」という項目があります。これを読んで「?」と思う方も多いでしょう。なぜなら、9月17日のコンビニ万引き事件は、コンビニで起きているからです。

Oもαもこれを「予科全体のルールである」と証言していましたが、どういうことなのでしょうか。防犯ビデオには予科服姿の生徒が大勢映っており、宝塚南口のコンビニに寄るのが日課であることがわかります。ひょっとして、「宝塚南口のコンビニ以外のコンビニには寄ってはいけない」というルールなのでしょうか??? 一般人からしたらちょっと奇異なルールですね。

宝塚の世界に厳しいルールが無数にあるというのは、よく言われることです。それが規律正しさを生んでいるとも言われる一方で、理不尽なルールは解消したほうがよいという声も聞かれます。

無法地帯である96期生の中でも、裁判記録を読むだけでも、理不尽な例がたくさん見られます。

<意味不明なルール>
たとえば、洗濯機の使い方ルール。「洗濯機を作業場へ持っていくときは紙袋に入れ」る。(H22.3.10 X陳述書)それを守らないといって怒られる…正直、何に入れようが、どうでもいいと思うのですが。

拾ったものは必ず委員に届けるというルールもあります。原告は大劇場で財布を拾ってしまい、インフォメーションカウンターなどの係員に届けるほうが早いのに、「委員に届ける」というルールに縛られ、自分の部屋に持ち帰りました。そして、届けたらまた「盗んだ」と言われると恐れ、部屋にしばらく置いておいた結果、事件になってしまいました。

<職員が知らないルール>
これらの理不尽さは、一般人には計り知れない舞台上のルールとつながっているというふうに考えられなくもないですが、ここでもう一つ問題なのは、ルールが事務長にすら知らされていないということです。これらは生徒内だけのルールなのです。なんと笑えることに、事務長は「拾ったものは劇場係員に届けるのが普通だ」と言っていて、「拾ったものは委員に届ける」というルールを知らないのです。

<本人たちが知らないルール>
なんと、予科の誰もが知らないルールもありました。

ある日、原告は母親とホテルで過ごしてお風呂をすませてから帰ろうとしました。そのことは事務長も、外泊担当の同期寮委員(LL)もOKを出しました。しかし、突如連絡があり寮に呼び戻されます。本科に「予科は必ず寮で風呂に入らなければいけないというルールがある」と指摘されたからなのだそうです。予科は誰もそのルールを知らなかったのです!! 当然、事務長も知らないルールなわけです。こんなもののどこがルールなのでしょうか。(さらに笑えるのが、このことを事務長が「原告がおかしたルール違反」として書類に書いていることです。そのルールを知らずに原告にOKを出したのは自分であるにもかかわらず。)

<明文化されていないルール、されているのに守られていないルール>
テレビ取材の際、許可なく制服を着用したことや化粧をしたことも原告は責められましたが、じつは「制服着用の許可が必要な事は、学校から言われたことはありませんでした」(H22.3.31 原告陳述書)。「薄化粧については、すみれ募金、発表会、修学旅行等、人前に出るときには薄化粧するのがマナーだと教えられました」(H20.12.22 原告陳述書)原告がよかれと思ってしたことすらも、ルール違反に転じてしまうのです。

さらには、明文化されているルールが全く守られていない例もあります。「すみれ寮における心得」には、消灯時間は23時30分とありますが、毎日のように原告を吊るし上げる「お話し合い」は、深夜にまで及びました。

一体、何のためのルールなのでしょうか。本当に舞台や集団生活に役立つルールを、きちんと理由を認識したうえで厳しく守るならともかく、自分たちで勝手に操作したルールに縛られて恐慌状態を作り出すなんて、あまりにも無意味です。

そもそも、学則が交付されていませんでした。退学処分になって、原告代理人が要求して初めて学則が送られてくる始末。

明文化されず、交付もされていないルールが、弱い者をさらに追いつめてしまったのです。


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