宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) ポイント解説

9. 本科の指導がなくなったこと、受験制度の変更

このような悪質ないじめが起きてしまった原因として、一番委員αと原告が同室になってしまった偶然も大きいでしょう。

しかし、96期生に特有の背景もあります。

<本科の指導がなくなった>
大きな原因として、本科からの1:1の「指導」がなくなったことがあげられます(原告の母親のメモや、α証言による)。本科は、それなりの権限を持ってはいますが、伝統的な「指導」がなくなり、かつてほどの大きな権限を持たなくなったようです。

これまで、本科という仮想敵に立ち向かうために、予科は全員で団結していたはずですが、仮想敵がいなくなったことにより、予科の中で上下関係ができてしまいました

さらに、「指導」に時間を取られないため、暇な時間ができてしまいました。裁判記録から見えてくる彼女らの日常は、宝塚ファンがイメージしていたよりずっと、暇です。同期を監視したり、吊るしあげる時間があったらレッスンしろ、と言いたくなります。

相撲部屋の事件をきっかけになくなったと言われる、本科の理不尽に厳しい指導ですが、なくした結果このような事態が起きるのであれば、それは前述したように学校の体質全体が歪んでいるからにほかなりません。本質的な体質改善を行わずに、体面だけを考えて本科の指導をなくしたのは失敗だったのではないでしょうか。

→寮での指導だけがなくなったという話を聞きました。詳細は掲示板にて。

<受験スクールという常識>
また、原告が受験スクールにほとんど通っていないことも反感をかったようです(原告は受験スクールで冬期講習しか受けていません)。ここ数年、小さい頃から宝塚を目指す人が多く、音楽学校を受験するにあたって、受験スクールを経ることが当然になっています。合格発表時に原告は、冬期講習に参加したスクールにずっと通っていた他の生徒に睨まれたそうです(原告母陳述書)。また、原告の母親のメモには、他の96期生の親からの「原告は受験スクールにたいして通っていない、おかしい。普通は子どものときから目指すものだ。それなのに受かるなんて、コネなのではないか」という発言が記録されています。原告は「鈴木善幸の親戚だ」というデマまで流されました。よほど、地方から受験スクールにさほど通わずに入学した生徒に納得がいかなかったのでしょう。

さらに、受験スクールですでに知り合いだった生徒たちは、入学してからすぐに結託することが可能です。音楽学校は、「顔をあわせてから、わずか1日、2日の間に、数名の者が犯罪行為に及ぶことを共謀して実行に移すことなどは考えられない。」(H21.5.20 準備書面(2))と主張しますが、それこそ実態を理解していません。

受験スクールを経ない原石でも合格できるように、受験システムを変更して門戸を広げたのは97期からですが、97期生はさらに多くの退学者が出ています。その原因は定かではありませんが、「受験スクールを経るのが当然だ、それ以外は存在するのがおかしい」と言う親や生徒の存在は想像に難くありません。これもまた、本質的な体質改善を行わずに、体面だけを考えて受験制度を変更したのは失敗だったのではないでしょうか。

10へ 原告を孤立させる巧妙な手口とは!?

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