宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) ポイント解説

7. 職員会議のほうが裁判所よりも偉い

無罪かもしれない人間を有罪と決め付けることは、いけないことです。近代法の大原則です。しかし、音楽学校は「財布を盗んだ可能性が高い」などという「可能性」や、現場も見ていなければ証拠もない「盗難」で、原告を退学にしました。

なぜ音楽学校は平気でそんなことをしたのか。

<音楽学校は特別だから何をしてもいい>
彼らはしきりに「裁量権」と言います。

「独自の伝統と校風と教育方針を堅持する音楽学校においては同校の校長により生徒の退学処分について、(中略)広範な裁量が認められることは明らかである。」「高いモラールを要求する私立学校においては、他の学校において処分の対象にならないような事項でも当然に処分の対象となる。」(H21.4.15 保全抗告申立書)

退学させるのは校長の裁量である、という理屈です。世間がどう言おうと、自分たちの基準に合わなければ追い出していいのだ、ということなのです。

<外部の常識より内部のメンツ>
このように、一般社会の常識と異なっていてもかまわない、という理屈は音楽学校の主張によく見受けられます。

たとえば、大劇場で財布をなくした方について。音楽学校は、原告が隣の席に座っていて観劇中に盗んだのだと主張しています。にもかかわらず、音楽学校はこの財布の持ち主に対して謝罪をしていません。お財布に入っていた4万円の弁償もしていません。

原告代理人は法廷で、今西副校長に「外部の人に被害をかけているのであれば、自分の生徒が非行行為をやったということを、その方に謝罪するのが普通ではないか」と何度も問いかけていますが、今西副校長は「宝塚の舞台に立つその人物が、やはり、その拾った財布をトイレに持っていって、中を調べて、そしてそれを所持していたと、8日間も所持していたということに、私はいろいろと問題があると思います。」(H22.4.1今西証言)とのみ答え、謝罪は不要だと主張しています。

また、原告がコンビニで万引きした、というのが音楽学校の主張です。しかし、コンビニは被害届を出していません。通常コンビニは在庫管理をしているため、盗まれたものがあればすぐわかるはずです。被害届を出していないということは、在庫管理上、盗まれたものがないと推測できます。しかし樫原事務長はこの点は無視し、「行為があったかなかったであって被害があったかなかったかを問題にしているのではない。」(H21.4.15保全抗告申立書)「コンビニが警察に被害届を提出していないことは、本件とは全く関係がない。原告が万引きしたことをコンビニは知らないのだから、被害届を出していなくて当たり前というべきである。」(H22.3.16 準備書面(5))と書いています。あの〜、行為と被害はイコールなのでは??? 

しかも、財布の件と同様、コンビニに対して謝罪をしていません。自分のところの生徒が盗んだ、と思っているにもかかわらず。

一般社会と隔絶された世界観としか言いようがありません。

8へ 厳格なルールも一般常識と隔絶されています

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