宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) ポイント解説

1. いじめなんてよくあること?

「宝塚なんて女ばかりなんだから、妬みからくるいじめぐらい、絶対あるよね」「気にしてもしょうがない」と思いますか?

たしかに、卒業生の書いた本にも、抜擢を受けて靴を隠されたというようなエピソードは登場しました。でも、今回の事件はそれらとは3つの点でちがいます。

<事実としておおやけになった>
まず1つめは、「いじめをしていた」と記録から推察できる事実がおおやけになったことです。今まで私たちが耳にしてきた「いじめ」は、伝聞や推測でした。今回の事件は、伝聞でも推測でもなんでもなく、事実です。裁判は公開ですから、証言や記録が明らかになってしまいました。しかも卒業生の過去の思い出話ではなく、これから初舞台を踏もうという生徒の現在のことでした。

音楽学校は当初、「いじめの問題ではございません」とHPでコメントしていました。しかし、提出された原告側の書類には、詳細ないじめの実態が書かれています。これに対し、他の生徒は「盗癖があるなら見守っていこうと思った」、音楽学校は「委員は厳しくあたってしまうこともあり、それがいじめということになったのだと思います」と述べるのみで、盗癖を立証することができませんでした。(→本当にいじめだったのかまだ疑問な方はコチラ

<万引きねつ造というひどい加害だった>
2つめは、いじめの内容が万引きねつ造であるということです。いじめと言っても、靴を隠したというようなレベルではありません。靴を隠したのなら、隠した側が悪いことは明白ですが、万引きねつ造はどちらが悪いのか一見しただけではわかりません。巧妙です。えん罪を作り出すのは、いじめの中でも相当悪質です。そのうえ、同期全員で生徒を一人退学させるまでエスカレートしたのですから、いじめの範疇をこえています。

もちろん、人間だから誰かに悪意を抱くことはあるでしょう。でも、それを実行に移してはいけません。そして大事なのは、いじめをしてしまった人がいたら、組織として諌め、改善するよう努めることです。

<学校がいじめを後押しした>
なのに音楽学校はそれをしなかった。なんと、改善の努力をしないどころか、学校がいじめを後押しした。これが3つめの違いです。「自治」の伝統のもと、委員の報告を鵜呑みにし、ろくな調査もしていません。窃盗現場を見ていないのに、盗難物品が出てきたと委員に言われただけで、盗みだと断定しています。よく調べもせずに被害者を追いだし、舞台に立つ権利をはく奪したのです。学校ぐるみで。

つまり、宝塚歌劇団は組織全体で、「いじめをしてもかまわない」「万引きねつ造をしてもかまわない」と公言したということなのです。

→2へ。なぜこの事件はおおやけになったのでしょうか?

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