宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) 事件の検証

9. 携帯電話を拾った

平成20年10月20日の放課後、原告は学校で、自分のロッカーと、隣のKのロッカーとの間に、Kの携帯電話が落ちているのを見つけました。原告は、本人に渡そうという親切心で、拾って持って帰ります。

Kは陳述書(H22.3.3)で、ロッカーの前に忘れてきたので見つけた人は持って帰ってきてほしいと同期のメーリングリストで流した、と書いています。ひょっとしたら、原告以外の同期は、原告が拾うであろうことを予測して、わざと持って帰らなかったのかもしれません。

<携帯を見てしまう>
原告はすぐにKに渡すつもりでしたが、つい気になって中身を見てしまいました。自分をのぞいた39人のメーリングリストで何が話し合われているのか、つまり「いじめの計画」を知りたかったからです。知りたいのは当然でしょう、毎日いじめで、くたくたなのですから。

また、Kが本科のR.A.とどんなやりとりをしているかも気になりました。R.A.は原告の「分担」なので、原告はいろいろなことを相談していました。しかし、その相談内容がαに筒抜けであることがわかったのです。KはR.A.と学生時代、クラスメートだったので、そこから漏れたのかもしれません。

しかし、携帯電話を操作している最中にKの母親から電話があり、通話中になってしまったので、あわてて切ってしまいました。そして、証拠が残らないように、急いで着信履歴を消しました。こうなってしまうと、本人に返しにくいです。翌日ロッカーの前に置いておくつもりで、自分の部屋のスーツケースの中にしまいました。(原告の部屋には、いつ捜索が入るかわからないので、ちょっと用心したのでしょう。)

もちろん、他人の携帯を見ることはいけないことです。でも、あまりにも気の毒です。見たくなる気持ちもわかります。仮処分でも高等裁判所は「これらの行為に至った理由は不合理とまではいえず」(H21.7.2)としています。

<都合よく部屋から出され、捜索>
ちょうどそこで、「冷蔵庫のアイスがなくなった」と呼び出され、部屋の外で追究されます。その話が終わって部屋に戻ると、YとIIが勝手に原告の部屋に入って、アイスを捜索していました(こんなことが日常茶飯事なのです)。ここにHHとNが加わり、結局、スーツケースの中まで捜索されてしまい、携帯電話が発見されます。

こうなると、携帯を置いたのは、罠だったのかもしれません。そして、アイスは呼び出す口実にすぎなかったのではないでしょうか。異常な捜索が日常茶飯事であることが前提の、罠です。

(なおこの時のことを音楽学校は、(携帯の所持について)「はじめは覚えが無いといって、その後言い逃れができなくなると認める」(答弁書H20.12.19)と原告の態度を非難していますが、原告はアイスクリームについて覚えが無いと言っただけでした。「音楽学校は生徒からの情報を歪曲し、携帯を翌日返すつもりでいたとする原告の言い分を否定している。」(原告側準備書面H20.12.22))

<都合よく本科に関する物が「発見」>
そして、この捜索で携帯とともに、原告のかばんの中から本科の特定の生徒宛のDMと、10月12日に拾った財布も「発見」されます。財布は偶然ですが、本科宛のDMは仕組んだとしか思えません。例によって、原告が部屋にいない間「発見」されている物ですから、仕込むことが容易です。この本科宛のDMをきっかけに10月30日の 「本科への説明」=「原告はいじめられているという正しい認識だった本科に、原告は盗癖があるのだ、と思い込ませる」が行われます。(他人宛のDMなんて盗んでも全く意味がありません。必要のない物を盗む=精神的におかしい、ということにしたいのでしょう)

<学校は>
学校はもちろん原告の言い分を聞きませんでした。「発見された場所も、押入れの中のスーツケースの中であった。届けるつもりの人の行動ではない。」(H20.12.19答弁書)って、そもそも、原告が、常に部屋を捜索される異常な状況にあったことを知らないから、そんなことが言えるのです、事務長は。

なお、原告はこのDMを、先生から本科生に返してほしいと頼みました。委員から返すと自分が盗んだことにされるからです。しかし、樫原事務長は「自分から返すと、他の同期がやったことになる」と拒絶しました。あのーー、、真実を追究しようとか、生徒を守ろうとか、微塵も思ってないんですね、この人。

10. 図書室の本、監禁 へ

inserted by FC2 system