宝塚音楽学校96期裁判の記録(全まとめ) 事件の検証

2-2. 6月15日の大捜索

平成20年6月15日、原告の部屋の大捜索が委員たちによって行われ、多数の盗品が発見されました。そのときの状況を、陳述書の比較で考えてみましょう。

  α(H22.3.3陳述書) K(H22.3.3陳述書) 原告(H20.12.26陳述書)
夕方 EとHHが来て、原告が使っているドライヤーがEのものだと言うので、型番を見てEの物だと確認した 原告が部屋に来て、一緒にDVDを見ていた KとMMの部屋に呼ばれてDVDを見ていた
  原告を呼んで、部屋を捜索する了解を得た Rが来て、原告を連れて行った
  原告には他の部屋(Kの部屋)で待機してもらった Rが原告を連れて(戻って)来て、(原告の)部屋をしらべるから一緒にいて、と言われた
  委員と寮委員で捜索。部屋からいろいろなものが発見された   自分の部屋に戻ろうとしたら、Kたちにとめられた
    ボイスレコーダーが発見されたから確認しに来て」と言われて原告の部屋に行き、また戻ってきて原告と一緒にDVDを見ていた
  盗品をベッドに並べて原告を呼んだ   やっと部屋に戻ったら、ベッドにいろいろな品物が並んでいた。Eのドライヤーは確認していない
  原告の了解を得てかばんの中も捜索した。いろいろ発見された  
深夜 見覚えがあるか、と原告に尋ねた。原告は「精神科に通ったことがある」と言い始めた。そんなに遅くない時間   深夜2時まで追究され、盗癖があることにされた

<原告不在の捜索、すなわち仕込みの可能性>
まず、「捜索」の間、原告が自分の部屋にいなかったことは確かで、そこは全員合致しています。αはこれについて「深い意味はない」「いてもらえばよかった」(陳述書)と言いますが、原告がいないのだから、外から持ってきたものを「ここで発見した」と並べることも可能だったということです。

そもそも原告は朝と下校時の数十分しか部屋にいないのですから、仕込むことはいくらでも可能です。裁判所もこう述べています。「原告が使用していた寮室から被害品が発見されたことをもって、直ちにその責めを原告が負うべきものなのか、疑問がある。」「原告と共に寮室を利用していた同期生が被害品を所持していた可能性を否定できず」(神戸地裁決定H21.3.31)論理的に考えれば当たり前のことです。

<その間の軟禁!?>
原告がこの日、Kの部屋でDVDを見ていたのは、あらかじめ仕組まれていた可能性もありますが、定かではありません。しかし、少なくとも、帰ろうとした原告を足止めしたのだから、結果として「捜索」の間の軟禁の目的を果たしました。(Kは「私は原告を閉じ込めたりしていない」と主張しています)

<原告は捜索に同意したか?>
さて、気になるのは、αやR(H22.3.2陳述書)は「原告の同意を得た」と主張しているのに、原告は同意していないと否定していることです(H20.12.26陳述書)。αは他の件に関しても「本人が望んだ」と主張することが多々あります(例:原告抜きのメーリングリスト)。自分たちは悪くないと言いたいのでしょう。

上の表の時系列でも、αとKの主張は揃っていて、ドライヤーの件が発覚したので、まず原告の同意を得て、それから捜索したことになっていますが、原告はずっと部屋に足止めされていたと主張し、異なっています。

これには、Eの証言が興味深いです。「(原告代理人)ドライヤーが出てきたというときは、あなたがこのαさんの部屋に呼ばれていったときには、ドライヤー以外のものも原告のベッドの上にありませんでしたか。」「(E)ありました。」「(原告代理人)先ほどのボディファンデーションも一緒にありませんでしたか。」「(E)ありました。」なぬーーー。ドライヤーが見付かった→同意を得た→捜索した→ほかにも見付かったのでベッドの上に並べた、ではないと!? 「(原告代理人)あなたが行ったときには、もう部屋の中にそういうものがあったんでしょう。」「(E)はい。いいえ、同意を得て、部屋を調べて、出てきたのを見ました。」かなり動揺している様子。

この後、被告代理人が焦って確認します。「(被告代理人)部屋を調べた時の状況について、ちょっと混乱してたみたいなんで、もう一度確認しますけれども、まず、。あなたが原告とドライヤーについて話をしたんですね。」「(E)はい。」「(被告代理人)そのときに、ベッドの上に、もうその盗品、被害品とかがあったんですか。」「(E)えっ」「(被告代理人)ちょっと質問変えますけども、ドライヤーの話をした後に、あなたは部屋を調べたんですね。」「(E)はい。」…ちょっとわざとらしい感じがするのですが。αの腹心であるRやKはともかく、そうでもないEは答弁でちょっとボロが出てしまったのでは? 考え過ぎでしょうか?

2-3.なくなったものの詳細 へ

inserted by FC2 system